ロッキー Rocky

シルベスター・スタローンを一躍有名にした作品。それまではデスレース2000とかさえないピンク映画にでていたイタリアの種馬氏だが、この作品でアカデミー賞を受賞したものだから、次から次へといろいろな娯楽作品を発表しはじめた。

 

Rocky 4 Eye of the Tiger

 

 

ロッキー

 

ロッキー2

ロッキー2 トレーニングシーン

 

ロッキー2の主題は、1で破れたアポロとの再試合。そしてついにヘビー級チャンピオンベルトを手に入れるところ。

この動画のシークエンスは、全編のほとんどで「もう試合は止めて」と奥さんに釘を刺されてロッキーの気持ちもうやむやになっていたところ、彼女が階段から落ちて意識不明に。目覚めた彼女は旦那にはボクシングしか無いことを達観して「勝って」と懇願する。毎日をボーっと過ごしていたロッキーはその一言でスイッチが入り訓練を再開する。

パージェス・メレディス演ずるところの名トレーナー、ミッキー爺さんが喚いているのは、
“What you waiting for? practice!” 「何をぼけっとしてやがる。さっさと訓練しやがれ」

まだ陽の昇る前から訓練しているロッキーがランニングをしていると街中の子供たちが後からついてくる。総勢数百人の彼らは、フィラデルフィアの英雄ロッキー・バルボアを賞賛する未来の希望。

ロッキーシリーズの訓練シーンでは、試合前に相手を完全に食ってしまう場面が必ず含まれており、この時点で彼はすでにヘビー級チャンピオンシップを手に入れているも同然。

ロッキー3

 

ロッキー4

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ロッキー4 トレーニングシーン

このシークエンスは世界中によほど影響を及ぼしたらしく、なぜか冬季五輪のフィギュアスケート自由演技でBGMが使われていたことがある。

ロッキーは原始的な訓練方法を続ける一方、ドラゴはソヴィエトで最も先進的な肉体鍛錬を行っている。しかし良く見ると基本的に同じ事をやっているところが面白い。どういう方法を取ったとしても、精神的に相手を克服できる自信がついた時点でロッキーの勝利がほぼ見えてきた。

それにしてもロッキー2と同じ流れなのだが、奥さんが「あんな相手とやったら殺されるわよ」と言いつつも、現地に出向いてその挑戦を心から認めてくれた時にロッキーはやる気満々の態度に変わっていく。

イタリア人はおおらかだが、自分の母親の悪口を言われると命を懸けてまで報復するというが、ロッキーの場合は奥さんの了解が出れば、どんな相手でも倒してみせるという凄まじい精神力を持っている。

 

ロッキー4 最大の決戦 対ドラゴ戦

 

厳しい訓練を経て、盟友アポロ・クリードの弔い合戦のため、ソヴィエト国内でドラゴとの対戦に挑むロッキー。しかしやはり向こうも一筋縄ではやられない。

 

ボコボコにされた状態で迎えた第二ラウンド時間切れ寸前に反撃に出るロッキー。一発ぶん殴っただけでドラゴの顔面が切れて血が滲み出してくる。とたんに大騒ぎが始り、とうの本人は現状把握さえもままならない。トレーナーのデュークが大声で叫んでいるのは、
「これで分かったろ、奴も人間だ」
一方、自分のコーナーで待機しているドラゴは、
「野郎は人間じゃない、鋼鉄で出来てやがる」
と信じられないまなざしで睨んでいるが、マウスピースを噛み込むその横顔には「ぶっ殺してやる」という殺気が漂っている。

仮に宇宙人が降臨したとして、この星で一番お勧めの映画は何かと尋ねられたら、1にロッキー4、2番目に未来惑星ザルドス、3番目はチャールトンヘストンのオメガマンと答えるのが大学生のころの常だったが、今考えてみると、けっこう偏っているような希ガス。

 

恐るべき対戦相手 イワン・ドラゴ

 

  • エイドリアンの背後にいるおばさんが失敗したようなパーマで叫んでいるのでけっこう怖い。
  • 当時スタローンと恋仲で、後に配偶者となったブリジット・ニールセンは、今回ドラゴの奥方役で出ているのだが、ドラゴを叱責するカットが二回ほど使いまわしされているのは明らかな編集ミス。しかし同様の事はスターシップトルーパーズ3でも散見される。ジョニー・リコの大佐付き補佐官をやっているパツキンのお姉さんがバグの襲撃中に銃を構えて振り返りながらリポートする場面である。
  • 観客席最上段の立ち見の人影は真っ黒に塗った等身大のポップではないのか?

スティーブン・セガールの映画を見ていると、彼の主義として彼よりも背の高い敵は出てこないという条件がついて回るので、あまりに一方的過ぎて弱いものいじめをしているようにさえ見えてくるのですが、スタローン氏は肝っ玉が太いように思えてきます。

ロッキーシリーズに出てくる敵役は毎回とてつもなく強そうで恐ろしい。その点スタローンは視聴するお客さんに対してサービス精神が極めておおせいだといえます。

この作品で有名になった人間核弾頭ドルフ・ラングレン氏も、本作がずば抜けて良いキャラを出しています。本当は科学者になりたかったそうですが、諦めて俳優になったという興味深い経歴の持ち主。

本作以降、ラングレン氏の役回りは「頭の中のネジが一本はずれたような主人公」が多くなりますが、いわゆるパターンキャラと自負しているらしく、スタローン・シュワ知事・ヴァンダム・セガールなどの肉体派列強の中ではコンスタントに映画に顔を出している関係で、一番作品数が多いという気がします。

けれどそのような雰囲気をかもし出しつつも、ユニバーサル・ソルジャーに出ている彼の演技は秀逸です。正義のユニソル、ヴァンダムを盛り上げるための対極の存在として登場するのですが、一度死亡した後で蘇生改造されたユニソルなので通常の人間としての感情表現は極端に省略されているという条件の中、恐ろしいほど演技上の必然性を的中させるという仕事を見せてくれて、「ああ、この役者さん、上手だねぇ」と感嘆してしまいます。うそだと思ったら買って見れ。

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