
メテオ Meteor 1979
メテオは1979年制作のスペースパニック映画。
ショーン・コネリー、ナタリー・ウッド、マーチン・ランドー = スペース1999のコーニング指揮官など、超豪華キャストでおくる隕石撃退大作戦。
主演のショーン・コネリーはよくご存知のベテランで、このころ、007を降りたので、じゃっかん干されていました。ヒロインはウエストサイドストーリーのナタリー・ウッド。
wikiより メテオ
稀有の調整役カール・マルデン
ここで重要なのは、ショーン・コネリーを招聘し、事の次第を推し進めていくハリー・シャーウッド役を演じているカール・マルデン。彼はメテオに出る9年前の1970年にパットン大戦車軍団に出演しています。
その役どころは、パットンと同じ戦線で活躍する野戦指揮官のオマル・ブラッドリー米陸軍大将です。
デカイ声で物をいう者が昇進するという強引なパットンの姿勢に反対して、政府内部および陸軍将官たちの間で、只一人彼に反論できる良心を備えた大将で、後には元帥となります。もともとパットン大戦車軍団の映画そのものがブラッドリー元帥の回想をベースにしていることもありますが、押し出しの良いジョージ・C・スコッ演じるパットンに対して、苦言を呈し、しかも反目だけではなく友情を示すという演技をこなしたのがカール・マルデンとなります。
面白いことに、ショーン・コネリーが演じるメテオの主人公はポール・ブラッドレーという役で、わりと独りよがりな一匹狼の気があり、まるでパットンのようです。彼を連れてくるのがオマル・ブラッドリーを演じたカール・マルデンとなります。後述のランラン・ショウさんと製作スタッフもキャラの命名を考えたものですね。2本の映画を通して、カール・マルデンが演じているのは、現場の反目と混乱を収めて、なんとか事態を推進・成功させる難しい調整役となります。
稀有のプロデューサー、ランラン・ショウ
資金集めの大本は、かの有名なランラン・ショウ。燃えよドラゴン、ブレードランナー。特にブレードランナーは、内覧会でテスト視聴させたところ、最後がよく分からないと言われたので、シャイニングのオープニングで撮影されたフッテージを使いまわしたという肝っ玉の爺さんです。
大風呂敷を広げて、ウルトラ級の俳優陣人を登場させ、特撮はさておいても芝居だけで納得させる手法は、アーウィン・アレンにライバル意識を持っていたのでしょうか。でもチョウさんの方が成功していますよね。こんとし103歳だそうで。そして何年経っても語り草になるような、カルティックな作品を多く作っている希ガス。
デュボフ博士 = ブライアン・キース
ロシアから派遣されるデュボフ博士を演じるのはブライアン・キース。
もちろんアメリカの俳優さんですがロシア語を話せるので、本作とテレビドラマの第三次世界大戦に出演していました。
1982のドラマ、第三次世界大戦ではソ連の書記長を演じており、合衆国とドンパチをはじめる最前線の役割をしています。
書記長の家の長男はミーノ・ペルーチが演じており、見た目は3年前のがんばれベアーズTV版に出ていたタナー・ボイルのままです。
1発100メガトンの核弾頭 ≒ ツァーリ・ボンバー
さて、メテオを撃退するために、米ソの連合軍が用意した核弾頭は、米側のハーキュリーズ・・・日本語にするとヘラクレスという意味・・・で1発100メガトンの核爆発力をもつミサイルが14基。
サイドバイサイドのVLSが軌道上で地表を狙っています。
一方ロシア側はピョートル・ザ・グレート・・・いわゆる歴史上の賢帝であるピョートル大帝からの命名・・・は同等威力のミサイルが16基。90度対象にに4発ずつ装填されたミサイルが都合16本、地表をねめつけています。
つまりあわせて3ギガトンの破壊力を正面から食らわせて、直径8km、時速5万キロ相当の隕石を吹き飛ばすという算段です。
ここで重要なのは1発100メガトンの破壊力というやつで、人類が今までに制作してきた最大の核爆弾は、ソ連のツァーリ・ボンバー・・・皇帝爆弾で、通常威力が100メガトンですが、そのままでは投下する爆撃機が爆風圏外に逃れることができないので、鉛タンパーのリミッターをつけて、50メガトンに抑えているということです。つまり、ツァーリ・ボンバー30発分で、ふっとんでくるエベレストをぶっ壊すというお話となっています。
ちなみに、この50メガトン、フィフティー・メガトンという値は、キラー・トマト・イート・フランスで、マッド科学者が作り上げるお化けトマトの威力として使われていますが、たぶんツァーリ・ボンバーの出力を皮肉ったものでしょう。
しかし軍隊の命名による爆発物の名は、爆弾の皇帝とかモアブ・・・すべての爆弾の母とか、まるで円谷プロのウルトラの母みたいな安直さがにじみ出ていますね。
人類を救うのは協力のみ
そうしますと、この種の絶滅事象を乗り越えていく映画の根本には、バートランド・ラッセルが提唱していた人類を救うのは協力のみという名言が主題となってきます。
背景には1955に発表されたラッセル=アインシュタイン宣言があり、本来は国家間の核戦争を回避するための最終手段として話し合いで決着をつけましょうという趣旨ですが、これが映画などでは拡張解釈され、地球最後の日系統のパニックものでは主流になってきました。
スタートレック・ネクスト・ジェレネレーションではさらにこれが推し進められて、以前はクリンゴンとドンパチで決着をつけましたが、最近ではピカード艦長の超人的ネゴシエーションで折り合いをつけます。そこにどうしても迫力の欠如を感じてしまうのは、やはり視聴者は激しいコンバットを見たいという欲求があるからでしょう。