宇宙戦艦ヤマト Star Blazers 1974

YAMATO BGM 無限に広がる大宇宙

1974年に初回放送された宇宙戦艦ヤマトの特集です。

この作品は、アニメの形式で作成されましたが、後のエンターテイメントに多大な影響を与え続けました。
スタートレックにはまりまくって、MITからNASAに入る学生が後を絶たないのと同じで、日本にも同様の社会現象まで現れる状態となりました。

とりわけ最初のシリーズを制作されたスタッフの皆様には、おそらくSF作品の金字塔と称される絶賛が等しいかと思います。

レディオアクティブ コンタミネーション = 放射能汚染

謎のガミラス艦隊による遊星爆弾攻撃で、地球は放射能に汚染され、人類滅亡まであと365日。

まるで現在の日本のような状況下、22世紀の人類は、絶望を希望に、不安を意気込みに持ち替えて、往復29万6千光年の大航海に乗り出す。

マンガなのでステレオタイプの極みと解釈してもまだ、沖田艦長の冷静さには驚きを禁じえない。
やばくなったらすぐに事を投げ出すのが全盛のこの時代にあって、限られた選択肢を紡ぎながら事を進めていく手法はまさに神がかっている。
そのポジションに、シャドーのエド・ストレイカーを抜擢しても、これほどの勇気が出せるかどうか、私には分からない。

wikiより宇宙戦艦ヤマト | 英語版のスターブレイザー

彼らのランクは?

初回放送から現在に至るまで、ひとつだけ、どうしても分からないことがあります。古代とか、島の軍隊内部での階級です。艦長のセリフの中には、
「諸君ら、優秀な下士官に・・・」というところがありますが、下士官が艦橋勤務の戦闘部隊の元〆、ましてや最終兵器の発砲操作をするでしょうか? どう見ても佐官の仕事です。

真田工場長や徳川機関長は、年齢的にも経歴としても、いわゆる防衛大学校卒業の将校というのは分かりますが、後発の古代が艦長代理をやっているところを見ると、やはり彼らは将校なのかもしれません。また、パイロットは通常、将校なのですが、そうするとブラックタイガーのメンツもみんな将校ですね。

平時にはありえませんが、戦時では実戦経験で昇進することは良くあります。
マスター・アンド・コマンダーを見てみますと、大英王室海軍の木造巡洋艦では、中学生の坊主が将校として30代の兵員に対して指揮を執っています。そう考えれば、古代と島は、たぶん中学生のときから今でいう自衛隊専門学校にはいり、中学・高校の時間を特殊訓練して育ったのではないかと、類推されます。
現実世界でも、潜水艦のソナー要員などは、大卒の人間に訓練を施していては手遅れなので、このように幼少のころから教育されますが、このマンガの中でも同様の経歴をもち、加えて人員不足のために、即座に将校に昇進させられての搭乗となったのではないかと思います。

BGMとともに見るヤマト

美しい大海を渡る

この作品の魅力の多くは、日本の作曲家で、故宮川泰先生の作曲されたBGMに依存するものかと思われます。

私も初回放送でほだされた一人となりますが、1990年代に、ある作曲家の友人に、これらの曲を聞かせたところ、いろいろな元ネタを言い当てていました。
例えば、上記の、
無限に広がる大宇宙は、由紀さおりさんの夜明けのスキャット
美しい大海を渡るは、オズの魔法使いで歌われる、オーバーザ・レインボウとなります。

ドメル艦隊との決戦で、いつものメインテーマの代わりに使われる曲、空母の整列は2001年のテーマで有名なツァラトウストラ。

いつも「日本の歌謡界では、メロディーが枯渇している」を口癖にしていた宮川先生ですが、どんな作曲家でもネタ元は千差万別であり、例えば、プレデターに使われているメインテーマは、昔の映画で大空港のテーマ曲からインスパイアされたものかと思われますので、提示された作品を素直に楽しむのが視聴者の立場でしょう。

宇宙戦艦ヤマト第一シーズン

第一話 SOS地球!!甦れ宇宙戦艦ヤマト

第二話 号砲一発!!宇宙戦艦ヤマト始動!!

2世紀のときを隔てて、イスカンダルの最新技術で再建されたヤマトが、初めて起動・浮上するシーン。

2190年ころから遊星爆弾を喰らいまくって、やられ放題だった地球防衛軍が、初めて決定的な打撃を敵に加える場面なので、個人的には昔からここの場面が一番好きです。

ローマ帝国では解決方法が分からなくなると、とにかく建築作業を始めるというジョークがありますが、一面では正解で、相手を出し抜くためにより破壊力の強い武器を作り上げて対抗手段とするという過程は、見ていてワクワクします。

米国版では視聴対象がより低学年に設定されているため、オリジナル作品に大幅の改編が加えられ、佐渡先生の飲酒場面、森雪のファンサービス、そもそも船の名前が旧大日本帝国海軍の旗艦大和であることなどが削除されています。

その関係で、第二話の流れで第二次大戦中、米軍に撃沈された大和の回想部分がはしょられていますが、BGMはそのまま続いていて、霧笛の音、襲撃する艦載機の音などを聴く事ができます。再編集の仕事が大雑把ですね。

Wikiには載っていませんが、ドメル艦隊との決戦時には、ドメル指令は自爆せず、第三艦橋に吸着していたドメラーズⅡは艦底から離れ、そのまま戦線を離脱しています。当然大量の死者に対する宇宙葬の場面も削除されております。

スターブレイザーではキャラクターの呼び名も変わり、古代進はデレク・ワイルドスター、島大介はベンチャー、森雪がノバ・・・猿の惑星ですか? 沖田艦長はキャプテン・アバターとなっています。真田さんはサンダー。ちょっと安直。徳川機関長はオライオン・・・オリオン座のことですね。で、アナライザーはIQ9で頭が悪るそうです。

YAMATO BGM 悲壮なヤマト

この曲は窮地に陥ったときによくかかるBGMです。クリップの画像も、おそらく第一話のゆきかぜが沈んでいく場面を指しているものと思います

しかしながら、第二話で使われている同BGMは、私には別の意図を感じます。

ガミラス側が派遣したどでかい空母が接近中という状況を受け、ヤマト側は艦内には戦闘要員はおろか、最終整備用のエンジニアしか居ない状態で補助エンジンの始動を目論見ます。しかも最初の起動時には接続不良のため起動しません。
CM休憩をはさんで、再点検後に初めて補助エンジンが起動し、第一艦橋内部のインパネに火がともり始めます。つまりそれまで2世紀あまりに渡って破壊されていたヤマトが再生した状態になります。ここだけで感動ものです。

動力を得た戦艦は各部の点検を開始して、あわただしく迎撃準備が始められます。

後述の艦隊集結の曲がかかり、各砲塔の砲身を引き上げることにより船の上半分を地面から露出させ、船体の傾斜を復元することで、ついに船そのものが浮上します。

そこで一発ハットが打たれて悲壮なヤマトがかかります。この場面の演出意図は文字通り悲壮な状況というものかもしれません。しかし私には以下のような気がします。

この10年近く、ガミラスの遊星爆弾で疲弊していた地球側が、イスカンダルから入手した波動エンジンというオーバーテクノロジーを手にしたことで、敵と互角に渡り合える武器を所有する状態になりました。

このBGMは、とてつもない武器で武者震いするヤマト乗組員側の励起状態を顕わしているものかと思います。

YAMATO BGM 大河ヤマトのテーマ

「14万8千光年は絶望的に遠い。未だ人類の経験したことのない宇宙飛行だ。しかし、波動エンジンさえ完全に働けば、必ず行ける。いや、わしは必ず行くぞ、行って帰ってくるのだ」

沖田艦長が決意を述べている場面に使われているこの曲は、セシル・B・デミルの十戒を参考にして作られた曲かと思われます。

それはいいのですが、スタッフロールを見ると、アナライザーは、まだロボットと詠われています。

第三話の見所・・・浮上・迎撃・発進シーン

第二話でも補助エンジンを使用した上で、一度浮上して敵空母を撃沈していますが、今回はメインエンジンをスピンアップしてからの迎撃となります。

ヤマトの場合、どこかへ移動するたびに攻撃を受けてこれを撃破するという流れが繰り返されることによって、相対的に強力な存在ということの主張をしていますが、同じ論法は後の北斗のこぶしにも受け継がれていきます。

第三話 ヤマト発進!!29万6千光年への挑戦!!

沈黙の佐渡酒造

第三話で冷凍睡眠していた獣医の佐渡先生は、ワープの直前にアナライザーにたたき起こされます。おきたとたんに、また一升瓶から寝覚めの酒を飲み始めます。
これに対して「たるんどるぞ」などのお咎めは一切無し。艦長でさえも黙認している始末。

佐渡先生の蛮行は、アンタッチャブル = 関わるなの代名詞となり、後のセガールに引き継がれ、戦艦ミズーリで副長にたてつくコックとして有名になったらスイ。

第四話 驚異の世界!!光を飛び越えたヤマト

ガミラス側の状況把握

30年ぶりに本作を見たので、記憶があいまいになっていました。
第四話の最後の部分でデスラーの発言によりますと、ガミラス側はヤマトの航海目的がイスカンダル到達だということをはっきりと把握しています。久しぶりに流し見していたら、第九話あたりまでの間、太陽系から出てきた成り上がり者をからかってやろうという意図だけなのかと思っていました。

それで、デスラーが執務室で机に座っているシーンは、この場面だけではないでしょうか。あとは総統府の飲み屋で酒を飲んでいるか、風呂に入っているような場面ばかりで、あんまり仕事をしなくても良い身分のようです。

もうひとつ、びっくりするような伏線として、ガミラスとイスカンダルが二重惑星だという設定があります。まるで猿の惑星で猿どもが英語を話すようなやられた伏線です。
説明が無い状態でこの二重惑星としてのビジュアルは、最初のほうからさんざん目にしていたはずなのですが、子供心にもそれが何を意味するものか、まったく把握せずにボーっと見ていたというわけです。

また、ときどき出てくるガミラス星の風景が、超高層ビルから見下ろしたように水平線が高いことも、ぜんぜん気にしていませんでした。最後のほうになってガミラス星の構造上の特色をデスラーが説明する場面で、初めて気づくというわけです。

波動砲

原作者の松本零士先生が発案したネタかどうかは、分かりませんが、日本語で聴いてみると、なんだかものすごそうな響きのある武器です。

英語版では、ウェーブ・モーション・ガンと、そのまんまで、さほど迫力の無い名前です。その点で、日本語はそれぞれの単語を組み合わせて作られた熟語そのものが、独自の深い意味を持っているため、聴いただけで「こりゃ、すげー」という言葉の表現力を持っていますね。日本人に生まれてよかったです。

で、むしゃくしゃしたときにはこの動画が一番です。

第五話 浮遊大陸脱出!!危機を呼ぶ波動砲!!

Wikiより波動砲 | 波動エンジン

この物語の初期段階の構想では、第九話に出てくるアステロイドベルトで偽装されたヤマトが宇宙の中に潜みつつイスカンダルを目指すという構想だったらスイ。
しかしそれでは派手さに欠けるということで、空を飛ぶ戦艦の形での実現となりましたが、やはり子供向け番組なので、さらに派手な演出が必要となって発案されたのが波動砲というお話は、大昔の雑誌にさんざん書かれていました。

で、改めて考察してみましょう。原始人にiPodを与えても理解できないように、現代人がこんなことを考えても意味不明かもしれませんが、20世紀は原子核の足し算引き算で核エネルギーを取り出せた時代。21世紀は素粒子の特性を弄り回して空間構造を操った上で、量子通信が可能になる時代なので、この種の兵器ないし動力炉も、案外数百年で実現するかもしれません。

波動砲で、私がひっかかるのは、波動エンジンから取り出した無尽蔵のエネルギーを溜め込む薬室の構造です。
波動エンジンの説明を見てみますと、簡単にはポール・ディラックの海から取り出したダーク・エネルギーをタキオン粒子に変換して動力転用できる機関のようですが、波動砲はこの動力を薬室に溜め込んで前方に噴出させています。
さて、「ひとつの小宇宙にも匹敵するエネルギー」をどうやって溜め込んでいるのでしょうか?
高温のプラズマを帯磁させた隔壁で包み込む程度のなまやさしい構造ではなさそうです。

最近の研究では、動力をデータに変換することが可能となっていますが、ヤマトの薬室も、例えば熱を溜め込むコンデンサーのようなものではなくて、その構造の中にデータ形式で動力を溜め込む虚数空間となっているのではないでしょうか。

見た目は10立法メートル程度の場所に、空間の特性が異なる部分を作り出して、ひとつの小宇宙、つまり無尽蔵の動力を溜め込み、バーストセクションではそれをタキオンに再構築して吐き出すような。今考えてみるとただのSFですが、200年程度でこの種のマクロな空間の構造変換が可能になるものかと思われます。

なによりも、それらすべてをシステム化して実運用しているというだけでも、今から約200年後の2199年には、ものすごいエンジニアが居るんですね。びっくりします。

SFのお約束

昔から、SF作品、特にスペースオペラには、いくつかのお約束があります。

  1. エイリアンは英語を話す。猿の惑星でも英語を話す。ガリバー旅行記の馬の世界でも英語を話す。
    交戦状態にあるはずなのに、互いに交信が可能。始める前に、双方の言語学者で打ち合わせ会議でも開いたのでしょうか。
  2. なぜか艦橋勤務のとても重要な人員が、直接現地に偵察に行く。場合によっては交戦する。
  3. 重要な人員を喪失して、欠員が原因での作戦の失敗は無い。
  4. 交戦中に主要人物が亡くなった場合、戦闘は停止する。
  5. 死んだ人が幻影となって生存者に語りかける。しかし、「あなたも早くイラッシャイ」などの勧誘はしない。
  6. どんな任務を担っているのか、まったく分からない、忙しそうな通行人だけは、よく見かける。
  7. 女性のユニフォームは極端にタイトで、体の線が丸見え。ストレイカー司令官の番組でもそうでした。
  8. ロボットがセクハラをする。しかし首にならない。
  9. ワープすると恐竜が現れる。
  10. ここ一番の場面で地面に銃が落ちていて、主人公が窮地を脱するのは、昔の日本映画全盛時代のアイデアで、トム・クルーズはMI2でこれを流用。監督がハトのおっさんだから仕方ない。
  11. 弾倉を交換しなくても無限に発砲できる拳銃が存在する。
  12. 宇宙人は人間のような姿をしており、人間のような感情を持ち、人間のような振る舞いをする。お面をかぶっているだけじゃないのか?というような香具師も居る。
  13. 下っ端の戦闘員は白兵戦になった場合に、トンボを切るなどアクロバチックな動作を必ず行う。
  14. 宇宙空間で音がする・・・その他は2001年のwiki、科学考証にズラズラと書かれています。

第六話 氷原に眠る宇宙駆逐艦ゆきかぜ!

獅子がわが子を千尋の谷に

以下の第七話では、冥王星前線基地のガミラス人とヤマトが交戦するのですが、反射衛星砲という、今でいうとハープのアイデア元のような画期的武器で痛めつけられます。
実際は直撃を受けての中規模損害ということになっていますが、見ている分には手ひどいダメージで、番組の後半部分で沖田艦長が引用する獅子がわが子を千尋の谷に突き落とすという、伝承のような有様です。

シーズン1を振り返ってみますと、ヤマトにはイスカンダル到着という任務があるために、そこに到達することが主目的で、ゆきづりでドメル艦隊と交戦したり、引っ張り込まれた先のガミラス大帝星を壊滅させたりはしていますが、ガミラス人に対して明確な逆襲計画を立てて攻撃することは、ほぼありません。

仮にアラモ砦のデービー・クロケットが艦長をやっていたならば、敵の弾薬庫に夜襲をかけて散り散りにすることで、乗組員の士気を高めたりもするのでしょうが、ヤマトの振る舞いにそこまでの余裕はなく、千尋の谷から這い上がる行為のみで、余計に悲痛な思いがします。

だいたい、そんなことをしているから、ライオンは子孫が少なくなるのでしょう。
札幌では少し郊外にいくと、その辺を熊がうろついているところをよく目にします。特に月曜日の朝はゴミステーションをあさったりしています。数が多いので怖くて近寄れません。しかし、ライオンの数は極端に少なくて、街の中で腹ばいになっているやつが一頭だけ、三越の玄関前に居ます。

エンディング曲の部分に書かれているノートを見ていると、今まで気づかなかった解釈がいろいろと書かれています。
第一話では地球側の攻撃ではミサイルでしか撃沈できなかったガミラス艦ですが、第七話では艦載機の機銃掃射程度で撃沈できる状態に変化しています。
そこで誰かが考え付いたトンデモネタでは、火星にたどり着いたサーシャのデータカプセルには、波動エンジンの設計図だけではなくて、ガミラス艦隊への対抗兵器に関する情報までもが含まれていたんでないの? となっていますが、制作者の胸のうちはどうでしょうか?

YAMATO BGM ブラックタイガー

これは、最近知ったのですが、1957の、The Deadly Mantis のオープニングにかかる曲が原型ではないでしょうかね。

第七話 ヤマト沈没!!運命の要塞攻略戦!!

YAMATO BGM ヤマトのボレロ

ボレロというのはモーリス・ラヴェルが最初に書いた曲で、今でいう反復音楽の元祖です。彼がやってしまったので、その後の音楽家たちは誰も真似できなくなってしまったというお話ですが、映画音楽ではパットン大戦車軍団などで使われています。これを自分の流儀にしたのはフィリップ・グラスで、しつこいくらいの反復音楽ですが、シークエンサーを使える時代になるとタンジェリン・ドリームクラフトワークが取り入れ始め、後のトランス系統に発展していきます。

それにしても第七話で反射衛星砲の直撃を真上から食らって沈んで行く場面でこれをかけられると、もはや打ち止めという感じでたまりません。

第八話 決死のヤマト!!反射衛星砲撃破せよ!!

第九話 回転防禦!!アステロイド・ベルト!!

第十話 さらば太陽圏!銀河より愛をこめて!!

第十一話 決断!!ガミラス絶対防衛線突入!!

第十二話 絶体絶命!!オリオンの願い星、地獄星

第十三話 急げヤマト!!地球は病んでいる!!

YAMATO BGM デスラー登場

デスラーが出てくる場面でかかるこの曲は、子供のころはあんまり好きではありませんでした。
ジャンキーが作曲したかと思わせる、かなり錯乱したジャズで、聴いている人に不安をかきたてされ、同じ場所に居るのがいやになるような抑圧を感じる曲です。

デスラーの性格が、慇懃無礼な紳士という設定のとおり、イヤミな曲です。

それで、この間気づいたのですが、ジョージ・パル制作のザ・タイムマシーンの中に同じようなものが存在します。明け方まで飲み屋でたむろするお客さん用に、当時流行った形式なのかもしれません。

第十四話 銀河の試練!!西暦2200年の発進!!

YAMATO BGM 元祖ヤマトのテーマ

この軽快な曲で始まる、番組の流れを紹介するシークエンスは、このあと数話に渡って使われていきます。

太陽系を出てくるまでが、大変な話で、見ているこちらは、本当に148000光年も飛べるの? と不安度100%になっているわけですが、この曲がかかると、とりあえず未知の空間を手探りながらも驀進しているヤマトを応援したくなってきます。

この曲は、最終回の本編クロージングにも使われており、尺は短いながらも、秀逸な役割を果たしていました。

第十五話 必死の逃亡!!異次元のヤマト

YAMATO BGM 艦隊集結

ドメル司令がバラン星に赴任してくる際に使われるこの曲は、勇壮で迫力があります。パッと見て数千隻の機動部隊を従えて地上に降下してくる様は、それだけでもインデペンデンスデーの上をいくすさまじさです。
第二話でヤマトが補助エンジンを使い、地の中から浮上する際にも使われています。
以降、七色星団での決戦前日にガミラス艦隊が集結する場面など、勇ましいところによく使われる曲ですが、よく聴いてみますと、
ウィリアム・ワイラー監督のベンハーに使われているメインテーマを、もじった曲かと思われます。

第十六話 ビーメラ星、地下牢の死刑囚!!

第十七話 突撃!!バラノドン特攻隊

第十八話 浮かぶ要塞島!!たった二人の決死隊!!

第十九話 宇宙の望郷!!母の涙は我が涙

YAMATO BGM ヤマトのテーマ オーボエ and 弦バージョン

25話でも使われていますが、この曲は第19話でかかるのが、もっとも印象に残ります。

初回放送時、私が住んでいた札幌では、ちょうど真冬から春先にかけての季節で、夜中に春一番が吹きまくり、風の音とともに人生を考えさせられるような深い感銘を受けました。

第二十話 バラン星に太陽が落下する日!!

YAMATO BGM 空母の整列

第21話のみ、通常のオープニングと様式が異なり、この曲がかかって先週までの状況説明が入ります。その後、CMをはさみ、すぐにドメル艦隊の猛爆が始まります。

なんせ多勢に無勢なので、ヤマト側はあっちこっちが火の海になりますが、主人公補正が効いて沈むことはありません。

しかしながら決戦終了時、ドメルの自爆攻撃で、艦底部をぐっさりとえぐりとられてしまい、相当数の死傷者を出します。物語はそこで決着し、続くCM明けでオープニングの曲がかかり、スタッフロールが流れます。

第二十一話 ドメル艦隊!!決死の挑戦状

YAMATO BGM 真赤なスカーフ

第21話の最終部で、ドメラーズⅡが自爆し、宇宙空間を漂流しながら噴出す煙をたなびかせている時にかかるのが、この曲。

宿敵との戦闘がブレイクして、本来はここでほっと一息つかせる目的で選曲されたものだと思いますが、ガミラス側の新兵器が、今まで見たことも無いすごいものばかりだったので、子供視聴者としては、息つく暇もありません。

初見のときには、あまりのショックでこの番組は、今日で終わりではないか? ヤマトは目的を達成せずに多大な破損で航行不能に陥ったのではないか。とさえ思いました。

加えて宇宙葬をやっている場面がにわかに理解できず、負傷した人員を救命カプセルで後送しているのかもしれないなどと不安な一週間をすごしました。ワープできないのに、どうやって帰還するかなんて考えません。どっちにしろ、こりゃ終わりだなという恐ろしい恐怖を感じたものです。地球終了の恐怖ではありません。番組終了の恐怖です。

第二十二話 決戦!!七色星団の攻防戦!!

第二十三話 遂に来た!!マゼラン星雲波高し!!

第二十四話 死闘!!神よガミラスのために泣け!!

YAMATO BGM 地球を飛び立つヤマト

ガミラスの本土決戦に勝利しながらも、いたたまれない気持ちに苛まれつつ、ヤマトはイスカンダルへ向けて発進します。
そのときにかかるこの曲とシーンが、私には全編で最高の場面と思われます。

過去の苦労を忘れ去り、目の前に広がる目的地は、とこしえの美しさ。はるばる14万8千光年もの道のりを乗り越えてきた乗組員と、観客一同は、この場面を目にすることで揺らぎ無い達成感に満たされます。

第二十五話 イスカンダル!!滅びゆくか愛の星よ!!

第二十六話 地球よ!!ヤマトは帰ってきた!!

それ以降のヤマト

再放送で火がついて、2年ほど後に、シリーズ1をまとめた映画版が放映されたのを皮切りに、各種の続編が作られていくようになります。
それで、手元にあるネタを30年ぶりに見てみました。

さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち | 宇宙戦艦ヤマト2

素直な感想は、「朝っぱらから超重い」(ノウイングのセリフから)

子供のころは、この作品はそもそもマンガなのだから、破壊された地球がほぼ数年で復興してもおかしくはないと漠然と思っていましたが、大人になるとコスト感覚が異なってきます。
以下に大人の目から見た場合の違和感を羅列してみます。

  1. 放射能で汚染された地上を、シリーズ1でゲットしたコスモクリーナーでお掃除したのは、分かりますが、更地に都市の再生を図るには数十年はかかるはず。
  2. 新しく作られるアンドロメダ級の航宙艦を数十隻建造したそうですが、地球全体で、どれだけの税率アップになったのでしょうか? また、税収を集めるためには産業が育たなくてはなりませんが、前述のような更地から即座に始められて、なおかつそうとうな成長率をもたらす産業は何だったのでしょうか? やっぱり映画産業・・・まさか。
  3. 回を重ねるごとに乗組員が亡くなることと、勝利または引き分けを入手することがトレードオフの関係となるのがヤマトの恒例ですが、これが作品内容を超重たいものにしてしまいます。考えようによっては決してハッピーエンドのないヨーロッパ映画のようで、また実戦経験のある日本の歴史に沿った結論、つまり、戦争の中には得るものなど無く、スカっとすることもなく、残るのは倦怠感だけという感覚を顕わしています。
  4. 子供が見る場合、敵をやっつけて英雄を賞賛する気持ちで鑑賞するわけですが、おそらく制作者側の意図はこの逆にあり、どこまで行っても救いの無い現実が待ち構えているというのが真意でしょう。2作目以降とシリーズ1が決定的に違うのは、長い航海が終わった後のカタルシスがポジティブだった最初の作品と、どこまでもネガティブな2作以降の続編の差からくるものと思われます。その見る側と作る側のベクトル差が、見ている側に超重いという感覚を残すものかと思われます。
  5. よく見てみなくともわかるのですが、2作目以降はキャラクターの作画がじゃっかん異なり、特に森雪を初めとする女性陣の造型から松本零士色が抜けています。
    子供心にこの違いが受け入れられず、かつまた古代とラブラブのデッドループ状態に陥ってしまったことで、かなり引いて見ていた視聴者のひとも多かったのではないかと思います。
    この同一性の欠如は恐ろしいもので、例を挙げると水戸黄門が東野英治郎から変わる、その中の助さんが杉良太郎でなくなる、ついでに格さんも横内正 = カール・セーガンではなくなる、奥様は魔女のダーリンが入れ替わるなどの俳優入れ替えは、視聴者にかなりなptsdを与えます。この種のギャップが精神的に許されるのはティム・バートンが始めたバットマンくらいなもので、それでもハムナプトラ3にレイチェル・ワイズが出てこなかったことが悔やまれてなりません。
  6. 襲ってくる敵は、どいもこいつも独裁者。しかもこちらに向けて威嚇伝言をする際には高笑いでフェードフウトする。
    次回制作のおりには、マッドな独裁者ではなくて、民主主義の連合軍がやむにやまれぬ理由で襲撃してくる状態を描いてもらいたいものです。でも高笑いは昔からの恒例なので大切です。
    オバマ大統領などもこの手法を取り入れて、リビアを攻撃する際に、CNNで宣戦布告の際には、ぜひ高笑いで「ひねりつぶしてやるぞ」といってほしいものです。
    民主主義の代表はその精神状態が正常なことが就業規則に定められていますが、高笑いをすれば、しかも回りの閣僚がそれを許容すれば、敵の背筋が凍りつくことは間違いないでしょう。

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