スターシップ·トゥルーパーズ Starship Troopers 1997

スターシップ·トゥルーパーズは、1997のSF映画。
ロバート・A・ハインラインの宇宙の戦士をポール・ヴァーホーベン監督が映画化した問題作シリーズ。

さあこい、モンキー野郎ども!
人間一度は死ぬもんだ。
1918年、戦場における無名下士官の言葉。

宇宙の戦士はSF史上に輝く金字塔。
登場するのは敵の鼻面に一撃を食らわせて、こちらの言うとおりに誘導するための機動歩兵部隊。今で言う海軍特殊部隊ネイビー・シールズの宇宙版。

この作品は、スタジオぬえという稀有のビジュアル集団が文庫本の挿絵に描いた強化防護服のイメージが衝撃的だったことから、むしろ日本国内で絶賛された作品です。当時も今も強化防護服=単身垂直歩行戦車の可視化は、ほとんどぬえのデザインが基本となっています。そうとう昔に国内でいちどアニメーションとなりましたが、マニアが集めた程度の知名度しかなかったです。

スタジオぬえの元祖Powerd Suits

スタジオぬえの元祖Powerd Suits

日本のSFファンなら、だれでも本棚においてある宇宙の戦士

自宅には、青い表紙版と後で更新された茶色い表紙版、そして映画版と同時発売の3種類の表紙を持つ3冊がありました。

中身はみんな同じものです。

小説版では降下艇など使わずに、直接軌道上から再突入するためのカプセルも描かれています。

パワードスーツをカプセルに収納して降下管から叩き落されるという様は、出撃する空挺部隊の緊張感がたっぷりと漂っています。

スターシップトルーパーズ

ポール・ヴァーホーベン監督の作品はよく消されるので、日本で制作された宇宙の戦士です。

スタジオぬえの単身垂直歩行戦車デザインは世界的に影響を及ぼしました。

シリーズ第一作目はロボコップとかシュワ知事の出てくるトータルリコールを造っていたヴァーホーベン監督が、でかい虫と戦う映画を作りたいと言い出したので、そういう設定に近い小説を検討した結果ハインラインで行きましょうという流れで作られたらしいです。

しかし日本のファンが期待していたパワードスーツが登場しなかった関係で、いささかがっかりさせられた感を否めません。

ただし獰猛な野獣に航空支援も無い状態で、突撃銃のみで挑みかかる狂った攻撃方法がまたシュールで、想定上は全体管理社会となっている軍事政権下の歪みを助長させることに成功しています。

監督が作る作品には、ほとんどすべてに体制批判が色濃く強く打ち出されていて、頻繁に流れるニュース画面は民主主義を捨て去るという誤った選択を取ってしまった閉塞社会に現れる悪辣な影響に対しての警鐘を兼ねているので軍隊万歳映画とは正反対の意味を含ませていることにご注意ください。強い軍隊は必要なものの、市民から選ばれた大統領による判断もまた無くしては成らないものなのですな。

二作目は初作の特撮監督フィル・チィペットさんが小規模に作ったものでしたが、予算が少なくてもこの世界で行われている周辺での出来事を見るには楽しい作品となっています。将軍役の俳優さんは昔よくチャールズ・ブロンソンと共演していたあのハゲオヤジで、ホワイトバッファローとかスーパーマグナムやバトルガンなどにも一緒に出ています。

原作小説はドンパチのさかなから始まりますが、映画版は、日本のアニメをなぞったのか、まだ学生だったころのリコとイヴァネスの青春時代から始まります。ただここがダルくならない様に、テンポよく進みます。

肝心なのは、ジョニー・リコが哲学のデュボア先生の授業で直接習っていたということです。

小説版でジャンV.デュボア退役中佐として出てくる役柄は、ハインラインのスタンドインとして彼の意見を代弁する立場です。
映画版ではマイケル・アイアンサイドの役柄はジーン・ラズチャック中尉となっていますが、小説版での別キャラとデュボア先生のハイブリッド = 合体版として登場しています。

スターシップ・トルーパーズのキャラクタリスト(英語版)

Carmen Ibanez and Johnny Rico

Carmen Ibanez and Johnny Rico

卒業したあと、カルメンシータ・イヴァネスはパイロット候補生としてイケイケの毎日です。

リコのほうは、機動歩兵という最悪部門の、そのまたラズチャック愚連隊というとんでもない部隊に配属され、派兵される先々が地獄のような場所ばかり。

デニス・リチャーズ本人の右隣は、デビューしたてのエイミー・スマート。最近はジェイソン・ステイサムとへんな映画で競演しています。

Amy Smart and Denise Richards

Amy Smart and Denise Richards

とりたてて能力が高くないリコが入隊したのはこの世の最悪、機動歩兵部隊。

ブートキャンプでズィム軍曹に鍛え上げられます。

Clancy Brown as Sgt. Zim

Clancy Brown as Sgt. Zim

いっぱしの兵士となりますが、訓練中の不祥事で鞭打ち刑になります。

判決はトレマーズに出てくるFBI、ディーン・ノリス連隊長が隊内処分にします。

Dean Norris

Dean Norris

原作では昼間訓練のさなか、赤外線暗視装置を跳ね上げて外部視界を確認したのが本部にモニターされて処罰を受けますが、映画ではパワードスーツを使っていないので、友軍誤射を誘発したかどで罰を受けます。ポイントは長い軍隊生活で、あのズィム軍曹も同様の処罰を受けているということです。

同期入隊のエース・リビーがいい味出していて、明るく楽しい機動歩兵となっていますが、小説版では二人で風呂場で決闘しています。

Casper Van Dien

Casper Van Dien

一方、将校としての訓練を受けているカルメンは、リコとの付き合いと結婚を少々遅らせてほしい、と別れ話をしてきます。

Denise Richards as Lt. Carmen Ibanez

Denise Richards as Lt. Carmen Ibanez

艦橋の先輩がデートに誘うものの、カルメンは腕を上げて艦長になりたくて仕方がありません。

Patrick Muldoon as Zander Barcalow

Patrick Muldoon as Zander Barcalow

監督の原案では、カルメンとザンダー・バルカロウはすでに出来ていて、お色気で出世するいやな女として描きたかったようですが、話が複雑になるので、省かれたそうです。

このお稲荷さんが悪いんです

このお稲荷さんが悪いんです

Carmen Carl and Johnny

Carmen Carl and Johnny

このラストシーンは最近作られた4作目にもうまく使われています。

改めてよく考えますと、この軍事政権下では、

リコ = 根性で生き抜く一般市民、

イヴァネス = 頭脳で生きているエリート、

ジェンキンス = 超能力を持つ超エリート、

という階層構造が出来ており、テレパシー戦争を取り入れたことに新鮮さが感じられます。

有史以来最も多くの紛争を解決した手段は暴力のみだという事実は、いかに潤色したところで否定できない皮肉ですね。

スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン Starship Troopers: Invasion

Starship Troopers 2: Hero of the Federation

Starship Troopers 2: Hero of the Federation

Starship Troopers 2: Hero of the Federation

Starship Troopers 3: Marauder

以下のリンクは有料視聴サイトです。

Jolene Blalock

Jolene Blalock

今回はジョニー・リコ役のキャスパー・ヴァン・ディーンが戻ってきて、本当のパワードスーツが登場するというお話です。

ヒロインは鉄の意思を持つ艦長にエンタープライズのトゥポルでおなじみのジョリーン·ブラロック。
左の画像は映画とは関係のないサービスだそうです。

じつはエンタープライズはほとんど見たことがないのですが、吹き返された作品をチラっとみただけで、彼女はまさにバルカン人。沈着冷静なその演技が、今回もいかんなく発揮されています。

本作では軍事政権化で宗教と思想の自由が試されています。

クライマックスで降下してくるパワードスーツの噴射炎は、司令官付役のマーネット・パターソンの頭上に輪を描き、リコたちはまるで天から使わされた天使のよう。

軌道上から投下される機動歩兵は、体制という名の神に代わって悪をつぶす最強の武力だという描写が出てきます。

IMDbでの評価は低いですが、テンポの良い出だし、リコが辿る流転の運命、遭難者たちの砂漠の放浪、答えを求める最高司令官の求道などは何度見ても飽きがこなくて、一作目よりも好きな作品です。

おまけ メガフォース

非常に優れた命令系統、近未来的な洗練された武器、機動性を重視した戦力、隊長以外は階級なし。絶対に負けない無敵陸軍が帰ってきた。

Starship Troopers: Invasion

DVDで視聴してみました。

もう一度小説版に立ち戻って、カルメン・イヴァネスが大佐で艦長、カール・ジェンキンスはすでに大臣、そしてリコは将軍をやっていますが隠匿兵器マローダーが稼動しています。

上司の将軍が止めるのですが、リコは血が騒ぐのか、部下を連れて直接救出作戦に向かいます。

すこし残念なのは、ジョニー・リコの決めポーズである帽子を目深にかぶる動作は見られませんでした。

本作は、小説版の出だしをそのままオマージュしており、切迫した兵士の環境がよく現れていて秀逸です。

この勢いで、同じメンバーで、どんどん続編を作ってほしいものですね。

これだけは有料です。

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