ジュラシック・プレデター Wyvern

ジュラシック・プレデター = Wyvern = ワイバーン、飛竜は2009年のTV映画。
マンイーターシリーズの傑作で、サンドサーペント、カーニーとカップリングで売られているらしく、ジャケットはいつも3つ合わさった画像が出てきます。

トレマーズのような、ゆったりした出だしから始まるこの映画は、とてもモンスターものとは思えない不思議な味わいがあります。
仕事で疲れたときにゆったりしたい方にお勧めです。なんとも言えない牧歌的な雰囲気に酔いながら、私はすでに10回以上、ニコニコで見てしまいました。

主演のトラック・野郎ジェイク = ニック・チンランド

主演のトラック野郎は、リディックやティアーズ・オブ・ザサンでおなじみのニック・チンランド

リディックでは彼を執拗に追い詰める賞金稼ぎの役柄で、どこか憎めないイヤーな奴を演じ、ティアーズ・オブ・ザサンでは海軍特殊部隊シールズの軍曹を演じていました。

今回は元特殊部隊でもカンフーの達人でもなく、ごく普通の市民として空を飛ぶ恐竜ワイバーンと戦うことになります。手持ちの武器といえば、大型トレーラーの運転技術、冷静沈着な心、そして街のみんなを救おうとする意欲です。

ヒロインのクレア = エリン・カープラク

ビーバーミルズのレストランを経営する主演のお姉さんはこの映画にぴったりの女優さんで、エリン・カープラクが演じています。
スーパーナチュラルにもゲスト出演していますので、調べてみると良いかもしれません。

ロケ地はバーチャースタジオのボーダータウンセットです

ちなみにこの物語の舞台は白夜が続く北極圏での出来事となっていますが、その町並みはそっくりそのまま上記のスーパーナチュラルに登場します。その中では中西部にある荒れ果てたゴーストタウンとなっていましたので、実際には極圏ではなく暖かい地方にある場所かと思えます。

確かに、映画に出てくる植生を良く見てみますと水辺の寒そうなところでは針葉樹がありますが、街の中では広葉樹が主にあり、ロケ地を分けて撮影されたものかと思われます。

私は、この映画と、その街並みが気に入ってしまい、スパナチュで撮影地に使われているので、気になって仕方がありませんでした。IMDbで調べまくったところ、カナダにあるパーチャースタジオが経営するボーダータウンという常設撮影所だということが分かりました。で、スパナチュに関する限り、IMDbのロケ地は正確ではなかったので、とても苦労しました。

パーチャースタジオのセットのひとつ、ボーダータウン

ワイバーンの街並みセットは、もともとボーダータウンというTV番組用に作られたところで、その後もいろいろと改装して使いまわされています。

スパナチュではシーズン2の終わりにアザゼルがかき集めた特殊能力のある子供たちのバトルロイヤルの舞台として使われたり、シーズン6でディーンとサムがフェニックスの灰を取りにタイムスリップした西部開拓時代に出てきます。
それ以外にもアンダーワールド2とかいろいろと使われています。
いままでセット使用された映画の一覧

脇役がすばらしい

この映画のすばらしい要素のひとつに、おそらくトレマーズを意識して構成された登場人物たちの的確な描写があげられます。

北極圏でのお話しなので、猟師のオヤジやちょっとボケをかましたハゲ、気のいいお医者さん、市民のことを大切に思っている警察署長などが出てきますが、なかでも保安官代理の太ったおばちゃんスージー = エレイン・マイルズが一番いい味を出しています。日本語での吹き替えが功を奏しているかと思いますが、見るたびにこれらの登場人物にまた会えたと思わせる、心憎いできばえの映画です。

今一度見てみますと、アバンタイトルと皆の衆の紹介が終わり、朝早くから猟を始めたベテラン猟師のハースが見せる芝居あたりから、これでもかといわんばかりに引き込まれてしまいます。

役を演じているバリー・コービン Barry Corbinのしっかりとした演技は、ほんとうにこの路数十年のマタギが存在するかのようで、「おれのオヤジがノルウェー人でよ・・・」というワイバーンの説明などは、近所にノルウェー人が住んでいない人には、「やっぱりそうだったか・・・」と裏づけのない満足感さえ沸いてきます。

ボケの田舎者ファーリーを演じているサイモン・ロングモアの芝居は絶品です。とくにファーリーは、ボケを通り越して、若年性痴呆症の典型例として学会でも通用するのではないでしょうか?

保安官のジョン・ショウはTV番組にもよく顔を出す売れっ子で、スパナチュでも2回ほど出演しています。出てきたとたんに殺される役が多く、その潔さは世界記録ですが、この間のX-MENファーストクラスで、ものの20秒で殺されたイギリスのトニー・クランに先を越されました。

善人のお医者さんを演じているデビッド・ルイスもかなりの売れ者で、ちょくちよく顔を見ますが、本作ワイバーンと同じ2009年に作られたTV映画でアルマゲドン2009 = ポーラーストームにも出演しており、ヒーローズのオヤジさんと競演しています。

ドン・S・デイビスはどうやらこの作品の後お亡くなりになられたらしく、スタッフロールにコメントを見ることができます。
Don S Davis Official Site

ちょっと浮世離れしている退役大佐の役を演じていますが、自宅の正面で風呂桶を干している場面は末代まで語り継がれる演技です。はまるのが怖いので、あんまり見たことはないものの、スターゲイトシリーズの特務将官を演じている彼からは想像のできないボケっぷりです。

自宅のベランダで朝風呂の用意をして、愛犬LTのエサをひっくり返す場面や、同じ降板表でビールを飲みながらワイバーンを発見する場面は、デイビス氏のために特に用意されたコントとなっており、ミッション・クレオパトラジャメル・ドゥブーズと互角のボケかたを披露しています。しかもみている視聴者は現実そのものと思わされてしまうところに彼の底知れない演技力を感じます。ちなみに、愛犬LTのエルティーとは大佐付きの大尉の意味ですね。

DJのハンプトン役をやっているお姉さんは、Tinsel Korey

いろいろなB級映画に出てきますが、最近ではトワイライトにも出ているので、売れてきたのですね。ちなみに、Tinsel Koreyをグーグルクロームで日本語に変換すると、見掛け倒しKoreyと出てきます。

統合失調症をわずらっているエドナを演ずるのはカレン・オースティン。とりたてて活躍はしないものの、みんなの足を引っ張ることもしません。ミストでマルシア・ゲイ・ハーデンが演じた狂信的信者までも行きませんが、聖書には詳しい模様です。フィーストに出てくるエロ婆さんほどすかしても居ません。

彼女が演じているのは非力で普通の市民という役柄で、そいういバアチャンを守り抜いてこそ、改めてニックの男の度胸が賛美されるという役柄かと思われます。

バーブワイヤー ブロンド美女戦記・・・筋書きはカサブランカを基にした近未来SF。ドン・S・デイビスに似たオヤジが出てきますが、別人です。音が割れているのでBGMがもったいない状態です。

ここだけはちょっと失敗演技?

何度見直してもあきの来ないこの映画は、オープニングのすがすがしさが原因かと思われます。
アバンタイトルで釣りのオヤジが早くもワイバーンに食われた後で、ビーバーミルズの美しい街並みのと、そこに暮らす楽しい仲間にまた会えたという印象が心に残り、西部劇のBGMがかかる事でワクワクしてしまいます。

けれども2箇所だけ、ちょっと失敗ショットを見つけることができます。

一箇所目は、森でワイバーンに襲われたハースが「どこから来た?」という保安官の問いに人差し指で天を指す場面、これは未知との遭遇からのエピコーネン ≒ パクりですが、直後にフォーカスがニック・チンランドの顔に移ったときの彼の天を見上げる表情は、笑い顔を連想させてしまい、その場の雰囲気から浮いています。

スタンリー・キューブリックが監督していたら、同じショットを3週間は撮り続けたでしょうが、いかんせんTV映画なので、そうも言っていられません。シャイニングでジャック・ニコルソンがツルハシでドアをたたき破るシーンは3週間、91テイクを撮り続けたらしく、ニコルソンの体力たるや、すさまじいものですね。

2つ目は、ワイバーンが街を襲い、みんなの集まるビーバーミルズ・カフェに顔を出すさいに、クレアが持っていたお盆を思わず落としてしまうところです。

ヒロインを演じるエリン・カープラクは映画作品にも出ている美人女優さんですが、ここだけは、とても柔軟性に欠ける演技に見えてしまいます。たぶん立ち位置が固定されていて、それ以上の芝居ができなかったのかと思われます。

4 replies on “ジュラシック・プレデター Wyvern”

  1. Pingback:ネオボス 面白ニコビデオ

  2. Pingback:グリズリーレイジ Grizzly Rage 2007 | ネオボス 面白ニコビデオ

  3. Pingback:スパイダーパニック Eight Legged Freaks | ネオボス 面白ニコビデオ

  4. Pingback:恐竜モンスター | ネオボス 面白ニコビデオ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください