トリポッド The TriPods 1984

トリポッドは、有名なSF作家、ジョン・クリストファーのジュブナイルSF小説を、BBCがTVシリーズとして作ったお話で、宇宙人による支配を逃れるため、少年たちが結束して抵抗勢力となる人間の独立性を描いた作品です。

1984年から2シーズン分作られましたが、人気が無かったのか、3シーズン目はキャンセルされてしまいました。

小説版は日本国内でも入手することができ、現在では前日譚を含めた4分冊となっています。

wikiより 三本足シリーズ | The Tripods (TV series) | 英語による詳細解説サイト

The TriPods

The TriPods

トリポッドシーズン1

4部作の第二巻、 脱出 The White Mountains に相当する話です。

第8話から12話については、オリジナルの小説には無い追加のシナリオとなっていますが、かりにこの部分を第三巻の先頭の話をかませて、シリーズ全体をクリフハンガー (後の筋書きを先見せして、後始末はせずに次回に据え置きという気を持たせる形式) にしておけば、第三シーズンのキャンセルを防げたかもしれませんね。

24はシーズン中盤に必ずこれがあり、どんでん返しの末に次も見たくなるように仕向けるという工夫がありますが、あくまでも3に対するこだわりが、それを妨げたようです。

第一話

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主人公たちの名前のメタファー

主人公のウィルは、一般庶民の生存本能を表す意思、
ヘンリーは、王の名前をいただいたイギリスの国土の象徴
ジャン・ポールは、フランスの英知の象徴。

つまりイギリス国民 = ウィルは、ヘンリーという国体とフランスを初めとする諸外国の英知を従えて、三本脚の連中に、敢然と戦いを挑むという構造がこめられているような希ガス。

第二話

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3という数字について

この作品よりも少し前に作られたジョージ・バルの宇宙戦争にも、トリポッド = 三脚戦車が登場します。
制作者のお話によると、当時のミニチュア工作技術では、3本脚で歩行するモデルを操演することができないので、三角形の円盤 = マーシャン・ウォー・マシーンに置き換えたということですが、3に対するこだわりは細部にまで貫いたようです。

3という数字は、キリスト教の三位一体から一般的に把握されているように、最少の点の数で多角形を描くことのできる特異な数字ですが、一方では全能の神を代表するのは、どこにも欠落の無い円という形象であり、その一部が欠けるごとに悪の要素が増加され、もっとも辺の数が少ない三角形は最悪の悪魔そのものを象徴しているという見方があります。

ジョージ・パルのデザイナーたちは、このサブカルチャーを積極的に取り入れて、宇宙人は悪魔に等しいというアイデアを活かしたということです。

数千年かけて醸造された本能的嫌悪感には根の深いものがあります。
かりにエイリアンが地球に到着して、われわれとまったく異なる姿だった場合、やれ角が生えている、やれ、脚が三本だ、やれ翼があるなど、いろいろな疎外要素が山ほど積みあがるかもしれません。また姿はそっくりだとしても、結局よその人なので、いつまでも気を許すことができないのではないでしょうか。

第三話

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ビーンポールの奇妙なメガネはマッド科学者の必須アイテム

三人目の主人公、フランスのビーンポールが登場します。
彼は頭のいい奴で、百年前に壊滅した文明の名残である書物を読んで、古代遺跡の中から使えそうな技術を復元するという利発なところを持っています。本人はフランス人ですが、本だけで英語の会話を覚え、当時は消滅してしまったメガネさえも自前で作り出しています。

登場当初は分厚い牛乳瓶の底みたいに見えるメガネですが、脱出の最中に立ち寄るパリの廃墟でまともなメガネを入手します。

とりあえず、マッドサイエンティストは自前であつらえた奇妙なメガネをかけているという王道を踏んでいます。

第四話

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バトルフィールド・アース

この作品の筋書きは、トラボルタのバトル・フィールドアースにほとんどパクられています。

主人公バリー・ペッパーの兄貴が生きている時代は侵略後数千年、なぞの解明をするための荒野の放浪、廃墟に立ち並ぶマネキン人形、敵地への潜入、そこでの知識の吸収、ドームシティーの内部からの破壊など、筋書きを書いた人たちは、トリポッドの大ファンだったのかと思います。しかし制作をバックアップしたサイエントロジーの力をもってしても、世界の荒廃は避けられないというかなり皮肉な出し物となってしまいました。

第五話

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エロイーズ

第五話からこのシリーズの悲劇のヒロイン、エロイーズが登場します。

Charlotte Long as Eloise de Ricordeau

Charlotte Long as Eloise de Ricordeau

児童文学には欠かせないお姫様、ないし主人公の初恋の相手です。
原作とは異なりますが、第四話のパリで襲撃を受け、負傷したウィルが担ぎ込まれたのが、赤い塔の城。旧フランス領土内にあるこの城には貴族のトゥール・ルージュ (って、まんま赤い塔のことです) 伯爵夫妻が住んでいます。その末娘のエロイーズは負傷したウィルを献身的に看病します。

脳震盪でフラフラしているところを追い詰められて、気づいたら病室で美少女に看病されて、いきなり天国状態という転換方法は、よくあるくだりですが、初期の目的であるアルプス山脈への脱出を前に、親切な伯爵夫妻と魅力的なエロイーズが主人公ウィルの心に一片の暗雲をもたらします。

このままオジマンディアスとの約束を忘れ、自分もキャップをかぶり、残りの一生をこの館で安穏と暮らしていこうかという点について、彼は非常に悩み、エロイーズと気心も知れてくるので、友人と脱出をしているときには感じるはずの無い里心 = 定住生活さえも、考えてしまいます。

第五話から第七話にかけての赤い塔の城のお話は、悪魔の毒々モンスターにたとえてみれば、第三話のラストテンプテーション = 最後の誘惑に似たところがあり、トリポッドから受ける攻撃をかわすのではなく、ウィル本人の心が試されているという仕組みになっています。

おそらく作者としては、この脱出の巻において、主人公に本当にやる気があるのか? イギリス国民を象徴するウィルの心の中で、戦いの意思は堅いのか? というところを掘り下げる意図があったのだと思います。

ちなみに、ウィルの足をさらおうとしているフランスのライバル君は、原作には登場しません。

第六話

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第七話

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囚われのヒロイン、エロイーズ

城の中で行われた競技大会で、優勝したフランスのライバル君。いつもニタニタ笑いでウィルにイヤミを言ってますが、勝者の褒美として、大会の女王を決める権利を見事勝ち取ります。

そして指名されたのがエロイーズ。彼女はトリポッドに囚われて、宇宙人のドームシティーに移送されてしまうことに。ウィルから見ればそれは永遠の別れを意味しますが、キャップ人にとっては、この上ない名誉と考えられて、城の主たちもまんざらではない様子。

エロイーズはさらに後のほうで、再登場しますが、ハヤカワ版の小説のあとがきに書かれているように、ウィルにとっては、やりきれない再会となってしまいます。ヨーロッパの文学だからこのような展開なのか、それともたとえ児童文学だとしても、要所要所にピリリと辛い現実を持ち込むのが名作なのか、どちらにしても初稿から数十年経っても読み続けられる名作としての隠し技というものを感じますね。

さらに輪をかけてこのTVシリーズのトリビアとして、エロイーズを演じていたシャーロット・ロングさんは、放映直後に交通事故で亡くなってしまいます。したがって物語後半で、ドームシティー内部にて出てくるエロイーズは、別の女優さんが演じています。

第八話

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赤い塔の城に居続ける理由が無いので、ウィルは先発した二人の後を追います。途中でトリポッドにつかまりますが、不思議なことにキャップを被せられるわけでもなく、解放されてしまいます。

第九話

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解放された理由は体にトラッキングデバイス = 追跡装置を埋め込まれ、放浪する三人の目的地を探知するためでした。

小説版ではこの探知機の話は、アルプスにきわめて接近した状態で発覚し、トリポッドから逃げずにそこで戦うという筋書きとなっていますが、第8話の放送で、すでにラスト近くまで内容を消化してしまっているので、ここから数話は、オリジナルの設定となります。

トラッキングデバイスを手術で取り外した後、三人が世話になるフランスのブドウ農園の話は原作にはありません。脚本家の意図としては、赤い塔の城で、ウィルだけがモテていたので、たまには残りの二人もいい思いをさせてみようかと思ったのでしょうか? とくにヘンリーの彼女は、もったいないほどの美人です。

Fiona Vichot

Fiona Vichot

三馬鹿大将たちが世話になるブドウ農園の娘さんたちの中には、後のヘルレイザー2で有名になるイモジェン・ブアーマンと、妹のニコラ・ブアーマン、そしてお姉さんのセシリア・ブアーマンが登場します。

詳しくは、Family Vichot でご覧ください。

Imogen Boorman

Imogen Boorman

イモジェン・ブアーマンはフィオナという役名で、中学生くらいの年齢なので、ただの子供の役ですが、妙に美人としての雰囲気があったのか、その4年後にヘルレイザー2のヒロインに抜擢されています。しかし怖い映画でしたよね。

Imogen Boorman in Hellraiser 2

Imogen Boorman in Hellraiser 2

また、道すがらドームシティーが見えますが、原作の設定では世界中に3基あり、一番近いのはドイツにあるもので、フランス国内からは見えません。あくまでも、ウィルにエロイーズを想起されるための演出です。

ドームシティーの残りの2基は、マラッカ海峡とパナマ運河に存在するという設定になっています。

第十話

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9話から10話にかけてのワイン作りの話は、これから厳しいアルプスに登山する一行にとって、防寒具を入手できたという点と、ヘンリーやビーンポールにとっても、彼女ができかかると、前進する意図がくじけそうになるということの反復となっいます。

三人が世話になる館のおばさんは、滞在の途中で昔から伝わる意味不明の骨董品を見せてくれます。まるでリベリオンの摘発対象のようなものです。このおばさんとおじさんがキャップ人なのかどうかはドイツ語が分からないので不明ですが、味方のまま、さよならします。

原作と異なり、シーズン2でも、トータリーオリジナルキャラの女の子たちが多数出演して、主人公たちは、ほうぼうの女の子を泣かせながら旅をつづけるという、罪な男たちの物語となっています。007のお国柄でしょうかね?

第11話

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一行は、怪しい森のジプシー集団に捕まってしまいます。
ネタが無いときに、大騒ぎで尺を埋めるモンティ・パイソンの苦し紛れを思わせますね。

村人と森人との間に緩やかな結界が張られており、相互に干渉しないしきたりの延長には、ナイトシャマラン監督のヴィレッジのモトネタが見えます。森人はたぶんジプシーの末裔なのでしょうが、軽度のカーゴカルトに染まっています。

第12話

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囚人として移送中に御者をやっつけて、うまく逃げ出した三人。
シュマンドフェール = 軌道貨車を操って、開放感に浸っていると、いきなり目の前にトリポッドが現れます。

向こうもこちらに気づいていない模様ですが、事態はメキシカン・スタンドオフ。ここまできたらガンカタでも使うしか打開方法がないかと思いますが、パリからはるばる持参した手榴弾で、みごとに敵を倒します。

実は原作では第9話でやり過ごしたトリポッドがここで爆破される機体に相当し、その間のお話はシナリオライターが追加したTVオリジナルとなります。

第9話で逃がした白馬は赤い塔の城でウィルがかわいがっていた愛馬ですが、小説内では連れて歩いてもかえって目立つので、鞍をはずして放牧しています。TVではここ一番のところで、おとりとしてうまく仕事してくれましたね。

そして三人の目の前には目的地のアルプスが広がります。

The TriPods 1984

The TriPods 1984

第13話

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原作では、第12話の最後に出てくるトリポッドの大群に追い掛け回される話となります。

The TriPods 1984

The TriPods 1984

TV版では地元警察に捕まって、さんざ絞られる場面が続きますが、対宇宙人よりも対キャップ人との逃亡劇が多いので、ちょっとトーンダウンしています。加えて、制作国であるイギリスの子供たちから見た本作は、異国風景のほとんどが、よく目にする中世イギリス国内に近似しており、日本の子供にたとえてみると、子供番組のなかにひんぱんに侍とチョンマゲが出てくるようで、あまりSF風味が効いていません。たぶんそれで低視聴率となってしまったものかと思いますが、時代を隔てて外国であるわれわれの眼から見ると、とてもカルトな作品となっています。

さて、最後に出てくるオジマンティアスは原作ではこの部分には登場しません。
かれらのコミットメントを試すため、最終試験として締め上げていますがイギリス独特の後輩指導方法の一環と思われます。SASでも似たようなことをやっていました。ギブアップしたら終わりです。

その後はついにアルプス山脈の中にある秘密基地で、世界中から集まった子供たちとともに、人類の反撃が開始されます。

廃墟の中で持つ希望、ゲリラ戦に特化した反撃、枯渇した資源、荒廃した社会、ターミネーターの未来世界に映し出される来るべき暗い世界は、これら一連の作品がベースになっています。

草の死

原作者が書いた別の小説で、もはや幻の逸品となってしまった、草の死があります。
最後の脱出 No Blade of Grass (1970)はこの映画化で、子供のときに一度見たきりの作品です。トリポッドと違い、かなり辛らつな表現も含まれますので、お子様のご鑑賞にはご注意ください。
トレーラー

トリポッドシーズン2

The TriPods Season2

The TriPods Season2

4部作の第三巻、 潜入 The City of Gold and Lead に相当する話です。

アルプス山脈の反撃基地から、ウィル、ビーン・ポール、新顔フリッツが敵地に潜入し、その情報を持ち出してくるという決死のミッションを敢行する様子を描いています。

背景を注視しますと、ほんとうにスイス国内で撮影したものと思われます。

第1話

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宇宙人の本拠地であるドームシティーに潜入することを目的に、彼らは年一回行われるスポーツ大会に出場するため、運動競技の練習をしています。

本拠地の地元であるスイスにも、トリポッドの占領は続いており、一定年齢になった子供たちにキャップを被せる戴帽式が行われます。いちおうシーズン2のオープニングなので、これはお約束のようです。

第2話

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第3話

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第4話

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ここまでスポーツ大会の様子でした。
川沿いのホテルから、ウィルたち専用の観客として付いてくる二人の女の子のうち、ウィルの彼女はプライミーバルのヒロインにそっくりです。もう四半世紀前の作品ですが、丸顔といい、やたら元気な様子といい、アビーの家のお母さんでしょうか?

ウィルとフリッツは敵地の潜入に成功しますが、惜しいことにビーンポールはここでドロップアウトします。しかしそこはビーンポールのこと。黙って本拠地に引き返すはずが無く、後でまた活躍するので乞うご期待。

第5話

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The TriPods 1984 Masters

The TriPods 1984 Masters

トリポッドを使って世界の覇権を握っている主人たちの姿が、ここで初めて登場します。三本脚と一つ目の宇宙人で、気温・湿度の高い環境を好み、海草を入れた温泉に浸かる習慣があります。呼吸している大気は地球のものと異なり、ウィルたちはヘルメット着用で主人の世話を行っています。

努力が報われて、やっと潜入した敵のドームシティーは、人間が呼吸できない大気成分。バトルフィールドアースでは妙なマスクで表現していましたが、こちらはフルフェイスのでかいヘルメットをかぶっています。

スポーツ大会で優勝した優れた人類に課せられる仕事とは、支配者であるマスターの身の回りの世話と、地下の鉱石堀り。キャップを被されているからこそ、それを栄誉と捕らえるのですが、自由人の立場からすると、ただの奴隷扱いとなってしまいます。

それにしても、ウィルと入れ違いに、いままでマスターに使えていた爺さんが転換炉で分解されるさまは、なんとも不憫ですね。

第6話

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第7話

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The TriPods 1984

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第8話

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第9話

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The TriPods 1984

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第10話

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第11話

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第12話

The TriPods 1984

The TriPods 1984

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アメリカで罪を犯せば「南米に逃げろ」
日本で罪を犯せば「沖縄に逃げろ」
ヨーロッパで罪を犯した人は、だいたいサーカスに逃げ込みます。この定理を活かしたのが、チャールトン・ヘストン主演の地上最大のショウ。ネタを流用して失敗したのは、007シリーズのオクトパシー

トリポッドシーズン2の実質的最終回に同じ轍を踏むのかとも思いましたが、第四巻で取り上げている仲間を増やすという部分を活かしての筋書きのようです。

少年たちの旅は絶望を乗り越えてこそ本物になる

サーカスの若者を説き伏せて、自由人の仲間を増やした上で、もう一度本拠地に戻ったウィルとビーンポールですが、頼りにしていた本部は、帰ってみればもぬけの殻。やけ崩れたガレキが散乱するさまに、一同唖然。さあ、この後どうなるのかは、本でも買って読んでみましょう。ここのがっかりするくだりは、原作者が読者に対して巧妙に仕掛けたお楽しみとなっていますよ。

第三シーズンキャンセルの原因は膨大な制作予算か

シーズン1の最終回、つまり第13話は、シーズン2の第一話に続いています。みんなが本拠地ホワイトマウンテンに集まって、反抗作戦を練るという趣旨の流れになっています。そうすると、本作のシナリオライターは、1話分のみクリフハンガー (正確な意味とは違いますが) を用いて次年度予算の獲得に苦労したと読み取ることができますね。

本来シーズン2も13話作られる予定だったとすれば、幻のシーズン2最終回で第四巻のさわりを見せてくれるはずだったのでしょうか、なんせ、BBC発足以来の制作費がかかっていたドラマだったこともあり、おしいところでキャンセルされてしまいました。

名作の条件は役者に対する親近感

The TriPods Like

The TriPods Like

この作品は、数年前にnico2に転載されていたものを一度見て、いわゆるお久の状態だったのですが、たまたま何度も読み返している全四巻ものを読んでいる最中だったので、YouTubeで探したところ発見しました。

読んでいる本は、HATAHATA堂さんから借りっぱなしで預かっているもので、トリポッド、タイムシップ、リングワールド、トリガー、ハイペリオンその他もろもろ多数あり、面白いのでトムとジェリー並に何度読んでもあきまへん。

良い作品というのは、まったくの初見俳優が出てきたとしても、すぐにその役柄に親近感を覚えるという要素が必ず含まれて居ます。例えば、ショーン・オブ・ザ・デッドのサイモン・ペグニック・フロストは、出てきてわずか数十秒で、「こいつら底抜けに面白い」と本能に訴えてきます。

トリポッドTVシリーズもその要素が多く含まれていて、ウィル、ヘンリー、ビーン・ポールの三人は、視聴者がともに旅をしているような錯覚さえ覚えてしまいます。第2シーズンから登場したドイツ人のフリッツは、小説でも最初はいやな野郎なのですが、最後には「お前、生き残ってくれよ」と応援したくなるキャラです。

最近のアメリカドラマはこの嫌われキャラがけっこう多数でてきて、ロストのソーヤーと、ヒーローズのノア・ベネットだけは、出てきたとたんに「死んでしまえ」といいたくなりますが、最後のほうになると、「まだ死ぬなよ」と応援したくなってきます。ロストでは最初のころのジンもじゃっかんその気がありましたが最後はジンばかり応援していました。 微妙に出番が少ないのも大切な要素かも知れません。

本作シーズン2のヘンリーがそれにあたり、シーズン1の後半ではけっこういい思いをしていたものの、2はほとんど出番なし。原作によれば、ウィルのいとこで、顔を合わせればドつきあいのケンカばかりでいやな奴として登場します。TV版もごつい体格をしていて、ピンでよればウィルをたたき殺しそうな面構えをしていますが、旅の途中で視聴者さえも心を開いていきます。

The TriPods 1984

The TriPods 1984

トリポッド映画化決定

アレックス・プロヤス監督が3部作で映画化する予定

ノウイングのアレックス・プロヤス監督が3部作で映画化する予定という話ですが、ぜひニコラス・ケイジも被り物の宇宙人役で出てほしいものです。ただ、エロイーズ役はダコタ・ファニング以外でお願いします。

プロヤス監督の名作はフィルム・ノワール

プロヤス監督の作品を見る限り、フィルム・ノワールの形式を周到している分にはダントツのできばえを誇っています。

ノウイングもダークシティーも、
フィルムがノワール = 暗くて、
ファム・ファタール = 運命の女が登場し、
打開できない閉塞感に包まれています。
ノウイングでは、主人公の破滅さえも描いています。

アイロボットだけはすこし明るすぎたのか、それともヒロインがニュートラルすぎたのか、ちょっと外していましたが。

さて、トリポッドには、宇宙人の支配 = 閉塞感、
ウィルの初恋のヒロイン、エロイーズ = 運命の女
の2大要素はそろっています。
あとは、夜中の脱出場面を多くするだけで、映画全体が暗くなり、
プロヤス監督お得意の形式に持ち込むことができますね。

ただし原作にはウィルたち主人公の破滅はありません。

プロヤス流のバイアス変更で、この三人も破滅させてしまいましょうか? どこでやるのでしょうか? 自分の村から脱出してトリポッドに踏まれる・パリの地下鉄で手榴弾で自爆。白い山脈の本拠地が落盤で全滅など・・・これではギャグですね。

ダークシティーは破滅なし。けれども感動的なラスト

プロヤス監督のダークシティーでは、破滅を描かずにアメリカ映画的ハッピーエンドに仕立てています。ちょっと捻りワザですが、ファム・ファタールと主人公の結びつきがしっかりしているので、マトリクスなんぞ鼻で笑えてしまうほどの感動的なラストを得ています。たんにジェニファー・コネリーの仕事がうまいだけの話かもしれませんが。

どうしても破滅を持ち込みたかったら、こういうのは、どうでしょう?

トリポッドの三基あるドームシティーを同時に破壊するところまでは原作とおりですが、それで宇宙人をやっつけても、人類に被せてあるキャップ自体は機能を停止せず、それ以降、自由人は洗脳の解けないキャップ人に追い詰められていく、これなら大ヒットまちがいなし。
世界中のコアなファンが怒り狂うでしょう。

主人公たちの年齢を上げてみればどうよ?

案外、主人公たちが少年ではなく、中年のオヤジ三人組もいいかも知れません。
以下はこういうキャスティングなら最高という推察です。

レジスタンス

  1. ウィルはカリブの海賊 = ジョニー・ディップ・・・サバけた態度で村の娘たちの人気者。見ているこっちはツボにはまる。
  2. ヘンリーは、ウルヴェリン = ヒュー・ジャックマン・・・いつも葉巻で、戦うときには手からナイフが飛び出す。ときどき夜中にうなされて、仲間を刺してしまう。
  3. ビーンポールは、アメリカン・スパイダーマン = トビー・マグワイア・・・メガネが似合って緻密な頭脳。決めセリフは「シュマンドフェール」
  4. オジマンディアス = クエンティン・タランティーノ、ぜひ牧師のいでたちで。
  5. 人類側の本拠地で指揮を執る指導者ユリウス = 何は無くともモーガン・フリーマン。

キャップ人

  1. エロイーズ = エマ・ストーン・・・ゾンビランドをサバイバルしたので、今回も生き残ってハッピーになってくれ。
    あなたこそファム・ファタールだ。
  2. エロイーズのお母さん、トゥール・ルージュ伯爵妃 = 二度あることはサンドラ・ブロック。
  3. エロイーズのお父さん、トゥール・ルージュ伯爵 = シュワ知事・・・じつは未来からきたターミネーターとして宇宙人を一掃する。それが終わったら今度は人類が一掃される。めでたく破滅のできあがり。

途中の村の協力者

  1. セガール・・・北部を仕切るマフィア。気合でトリポッドを倒す
  2. ドルフ・ラングレン・・・ユニバーサル・ソルジャー軍団を率いて反抗作戦中、ヴァンダムも駆けつける。
  3. ダニー・トレホ・・・決戦はオノ一本で勝負をつける
  4. カート・ラッセル・・・ドームシティーの潜入には、スネイクがうってつけ。
  5. ジェット・リー・・・モーガン・フリーマンのそばでピアノを奏でていたが、旅の仲間に同行して、近寄るものはコテンパンに叩きのめす。
  6. アダム・サンドラー・・・悪魔パワーでトリポッドもいちころ。
  7. ベン・スティラー・・・博物館の展示品を甦らせてハッピーエンド。

トリポッドを発光させてフィルム・ノワール独自の、コントラストの強いギラギラ感もお忘れなく。

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