時のロスト・ワールド The Lost World of Time

キャプテン・フューチャー 時のロスト・ワールド

国内放送の第五~八話は、時のロスト・ワールド。珍しく日本語版が掲載されています。

1億年前から届いたメッセージにしたがって、こんなこともあろうかと、かねてより開発していたタイムマシンで、フューチャーメンは時空の彼方へ。このチームに真田さんが加わったら怖いものなしですね。

原作の発表は、1941年。
ネタはウエルズの1895年の タイムマシンコナン・ドイルの1912年のロストワールド
たぶんピューリタンがアメリカ大陸へ旅立ったときの興奮も取り入れていると思います。

SFネタというものは、いろいろなところに転がっているものですが、ハミルトンは料理の仕方が絶品で、とても面白い作品に仕上がっています。

後の別作品に与えた影響は数知れず。
ハインラインのメトセラの子ら (1958) を初めとする世帯交代型恒星船コールドスリープクラークの代表作へ。

他の作品は犯人を逮捕するまでの捕り物が多く、日本でいうと、大岡越前や水戸黄門っぽい雰囲気がありますが、この作品や輝く星ぼしのかなたへ、また宇宙囚人船の反乱などは空間的、時間的に広大な広がりや、未知に対する畏怖の念などを感じさせてくれ、一番気に入っている作品です。

5話 SOS1億年前 「タイムドライブ未知の旅」 The Lost World of Time

スペイン語版
左のサムネイルはスペイン語ですが、以下の日本語版は日本放送時の作品です。BGMやタイトル曲がまるで違います。

日本語版 01 | 02 | 03

Capitan Futuro Viaje Hacia el Pasado
Cap.5 part 1 | Cap.5 part 2

初回放送 1978年12月5日

6話 聖なる星クウムの謎 「恐竜時代に不時着したコメット号は?」 The Riddle of the Holy Star Koom

スペイン語版
日本語版 01 | 02 | 03

Capitan Futuro El Planeta Sagrado de Koom
Cap.6 part 1 | Cap.6 part 2

初回放送 1978年12月12日

7話 太陽系創世記 「眼前に展開する荘厳な太陽創造のドラマ!」 Solar System Genesis

スペイン語版
日本語版 01 | 02 | 03

Capitan Futuro La Génesis del Sistema Solar
Cap.7 part 1 | Cap.7 part 2

初回放送 1978年12月19日

8話 遥かなり50億年の旅 「宿命の星カタインの前途は果たして?」 A Journey of 5 Billion Years

スペイン語版
日本語版 01 | 02 | 03

Capitan Futuro El Viaje de 5000 Millones de Años
Cap.8 part 1 | Cap.8 part 2

初回放送 1978年12月26日

フューチャーメンの象徴性

初回放送から30年以上を隔てて、改めてみてみますと、キャプテン・フューチャーのキャラに託した原作者ハミルトンの思い入れを、私は次のように解釈しています。

  1. 生きている脳 = サイモン・ライト
    人間の知識と発想の象徴
  2. ロボット = グラッグ
    金属加工技術から発達するソフトを含む機械文明の象徴
  3. アンドロイド = オットー
    窮地を救うのはガッツと機転という人間心理の象徴
  4. キャプテン・フューチャー
    どんなに困難なことでも成功させることのできる、人類の輝かしい、それも正義という倫理観を伴った進歩の象徴

つまり、ハミルトンにとってのキャプテン・フューチャーとは、読者を含む後々の地球人全体の象徴のような気がします。

話の進行を簡単にするために、「2年前にテストしたタイムマシン」とか、「すでに開発済みの振動ドライブ = ワープエンジン」などが出てきますが、生きている脳 ≒ 集積した知識と斬新な発想担当が思いつき、グラッグ ≒ 多数の開発者と膨大な作業工数をかけて、夢のような技術を人間はゲットしてきました。あたかも、三角関数を使って作り出されるピラミッドのように。

2ヶ月で恒星間航行の可能な船を作ることはできませんが、今から3000年もあれば、人間は知識欲と根性で、やってのけるような気がします。そのためには、フューチャーメンには出てきませんが、欲に駆られた世界的な投資家の存在も不可欠でしょう。

この作家の本作品における作風は、人間の無限の弛まぬ進歩を感じさせ、常に前向きで、読んでいて胸がスカっとします。

日本語の解説ページ

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