スペース1999は、1974年から1975年にイギリスのジェリー・アンダーソンが製作した、SF特撮TVドラマシリーズです。2シーズン分、48話が製作され、ITCから配給されました。
wikiより スペース1999 | 詳細な英語版Wiki | IMDb
1999年9月13日の月曜日、月で貯蔵されていた核廃棄物が突然爆発を起こし、月は地球の周回軌道を外れて宇宙をさまよい始めました。
月基地ムーンベース・アルファとそのクルーは、放浪する月とともに、外宇宙の様々な脅威にさらされますが、コーニッグ指揮官のリーダーシップとアルファ隊員の努力によりそれらを克服し、安住の地を求めて無限の宇宙を旅していきます。
第一話と第二話に出てくる政治家、シモンズコミッショナーは、運命の災いで、ていよく厄介払いされてしまいます。
この種の目の上のたんこぶが不可抗力でお払い箱の流れは、ロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説、宝島にも登場し、主人公の少年ジム・ホーキンズからみて、目上の存在であるアロー副船長が、酔った挙句に朝になったら船から姿を消したというくだりからも、新進気鋭の若年集団 vs 保身に終始するベテラン集団という、イギリス独特の皮肉に満ちた対立構図をうかがうことができます。
宇宙の移民船で旅を続ける、高潔な種族が月へ流れ着きました。ザンター船長を演じるのは、当時も今も世界的に有名なクリストファー・リーです。ハイバーネーションで漂着する旅人で始まるお話は、どことなく、スタートレックに登場するカーンの回、宇宙の帝王 Space Seed に対するアンチテーゼに思えてきます。
可能性に関するフォワード・フラッシュ仕立て。一太刀抜けば、双方全滅という全面戦争の回避についてのご提案。
一瞬で悪夢を見せて相手の気をそぐ指向は猿の惑星2の地底人とも似ていますが、最近ではエネミーライン2でも小規模に使われています。海軍特殊部隊シールズの前線指揮官が、実際には実行しないものの、脳裏に感情を爆発させた上で、適切な行動をとるための選択肢を挙げるという描写で、とても巧妙なできばえです。
このお話は、スペース1999で、誰もが覚えている印象深いものだと思います。とくに時空間が混乱しているさなか、ブラックホールを通過中に指揮官と教授が遭遇する、知的生命とおぼしき意識体との交流はタイムマシンの中にたびたび出てくる観察者を想起させます。
アルファのクルーは、ブラックホールを通過したことで、もともといた世界線とは、まるで別の時空に飛躍してしまいます。イーグルで脱出した生存部隊が合流したといっても、たぶん彼らも別世界のミラーリングでしょう。この第四回をもって、アルファの人たちが居るのは、別世界です。そんなにシェイクしてしまうと、いったいどうやって収集するの? と思ってしまいますが、原作を書いている人たちはもとの太陽系はおろか、元の時空にさえも月を戻すつもりなど、さらさらありません。そこにあるのは独立せよという主張で、後にかわぐちかいじさんが沈黙の艦隊で形を変えて主張されております。
さて、英語タイトルのブラック・サンですが、制作者側はブラックホールに特有の事象の地平線、いわゆるシュヴァルツシルト半径内は真っ黒という意味から命名したものだと思いますが、じつはオカルトシンボルとしても有名です。 Wikiより ブラックサン | 最近では仮面ライダーもそんな名前になったようですね・・・。
制作者側の発想内容としては、たぶん船が渦に巻き込まれてしまうという船乗りの恐怖を拡張させたものだと思われます。ことが起こるまで、ある程度の時間的余裕があるので、準備する時間があるところはキューバ危機か、戦略爆撃機のよる被侵攻、または渚にての、ひたひたと迫り来る死の影を思わせ、よけいに不気味ですね。
それにしても、こういうときにバーグマン教授が居てくれると、心強いですね。昔の王様にはワイズマン、現在の大統領には統幕議長、スタトレのカーク船長にはスポックがついていて、いざというときに知恵を出してくれるという、人間が思いつく限りで、最高の安全対策です。
で、忘れがちですが、サンドラの元恋人は、イーグルパイロットのライアンです。この人だけブラックホールの潮汐作用で亡くなってしまいました。ほんとうのところ、吸い込まれたらすぐに爆発せずに、螺旋運動を描いて重力井戸に吸い込まれていきます。そこでは時間がローレンツ拡張されるために、ライアンの世界では極限まで時間が伸びていきます。たぶんサンドラがラストメッセージを発信するころでも、まだ本人は若い年齢のまま、螺旋運動をしているのではないでしょうか。
日本語
このお話は、初見のころからとても印象に残りました。
惑星ダリアの巨大な播種船とその航海士。船は数世紀前に内爆を起こして大破、航海士たちは任務続行のため苦渋の決断、一方、居住区画に遺棄された人たちは、放射能の影響でミューテーション。
初期の目的を取るか、それとも人類本来の生き方を求めるのか、混乱したダリアの巨大宇宙船内に、コーニング指揮官たちが決着をつけます。
Joan Collins
ダリアの播種船航海士を演じるのは、ジョーン・コリンズ。イギリスの美人女優さんで、カルティックなSF映画に多数出演しています。IMDbより Joan Collins | IMDbより Mission of the Darians
見覚えがあるなと思ったら、TOS = スタートレックオリジナルシリーズの28話、 The City on the Edge of Forever 危険な過去への旅 で、大恐慌時代にもかかわらず、人間としての希望を捨てずに慈善活動に励む、エディス・キーラー役で出ています。カーク船長は例によって彼女にほだされてしまうのですが・・・・。
すこし変わったところで、アニマルパニック系の、Empire of the Ants にも出ています。
ピリの管理をしている、えらい美人のアンドロイドはキャサリーン・シェルが演じており、そうとう好評だったために、シーズン2で宇宙人のマヤとして再登場しています。
キャサリーン・シェルは、ほぼ同時期にムーン・ゼロ2などにも出演しており、子供からお父さんまで、SFのヒロインといえば彼女しか居ないというイメージを定着させていた模様です。
日本語
日本語
日本語 DESTINATION MOON BASE ALPHA 原題 脅威を運び来る物 part1
日本語 DESTINATION MOON BASE ALPHA 原題 脅威を運び来る物 part2
メッセージ・フロム・アルファは、シリーズの放送終了22年後に、ファンの手で作られた短編です。
サンドラ・ベネス役のジーニア・マートンが出演して制作され、原作の中で月が軌道を離脱した日と同じ1999年9月13日にロサンゼルスで公開されました。
いまやファンの間では「第49話」として捉えられており、ストーリー全体の円環構造を決定したものだと考えられています。