このコーナーではヴァンゲリスの動画をご紹介いたします。
同時代の作曲家たちがつまらない音楽を根堀り葉堀りほじくり返していたときに、この作曲家の発想はすでに事象の地平付近を高速飛行していました。そこから聴き取ることのできるスケールはDNAの1オングストロームから世界・銀河系・グレートアトラクター・宇宙・この時空全体に波及して、まるでエイムズのパワーズ・オブ・テンを見ているような規模に達しています。彼の音楽にフィラー映像を被せるとすれば、対応できるのは天体写真だけかもしれません。
1943年生まれのギリシャ人作曲家。1970年代に登場したシンセサイザーを操って広大な曲想を全面に押し出した個性的な音楽を作曲する。日本人なら多くの人が以下の炎のランナー、南極物語の旋律を耳にしたことがあるはずだ。
ニコニコ動画よりヴァンゲリス
Vangelis - Intergalactic Radio Station
銀河ラジオステーション。Directの最終曲。
徹夜あけで朝日の上る前に聴くとよし。
イギリスのケンブリッジ大学に入学したユダヤ人の俊足ランナー、ハロルド・エイブラハムズ。彼のライバルはスコットランド人宣教師エリック・リデル。
エイブラハムズが初めて味わう挫折のおり、自身の能力に疑問を抱き絶望の淵を彷徨っているときに登場するのがイタリア人コーチのサム・マッサビニ (エイリアンで初代アンドロイド=アッシュを演じたイアン・ホルム)
コーチの革新的な運動理論によりエイブラハムズの実力は飛躍的に伸びて行く。
日本で上映された映画の翻訳が間違っているので正確に記述しておくと、コーチが改良したのはエイブラハムズのストライド(歩幅)。これが小さいと一歩足を踏み込むごとに全身をひっぱたかれて推進力が減衰するので、走行中の歩幅を大きくするためにありとあらゆる訓練を施す場面が感動的である。
言わずと知れたタロ・ジロ感動物語。
1.pulstar 2.Alpha 3.Spiral 4.Chariots of Fire(炎のランナー) 5.Antarctica(南極物語) 6.Missing 7.Voices 8.Blade Runner 9.Side Streets 10.Heaven and Hell,
No1 nico2 本編 Motion Of The Stars(DIRECT) / .... / Intergalactic Radio Station(DIRECT)
No2 nico2 本編 アルファのリミックス版
作曲家本人は「視聴者のみなさんができるだけイマジネーションを膨らませることのできる曲を書きたい」とおっしゃっている通り、この曲を聴いていると聖書のジェネシス(創世記)を思い出す。
最初に神様が事前準備でネジを巻いている音。
「光あれ」というと光が現れ宇宙が開闢し、プラズマが冷却して原子ができ、宇宙埃が集積して太陽ができ、生命が発生して進化していく様はカール・セーガン先生のコスモスでも使われていました。
アメリカ大陸発見500周年を記念して作られた映画1492コロンブスから。
時は中世。キリスト教の支配が蔓延る暗黒時代。地球はまっ平らで沖合いに向かって航海すると水平線の端から落下するという迷信がまことしやかに信じられていた。そんな中でコロンブスだけはそれを信じておらず「地球は丸い、このみかんのように」と子供にも説いている。
Conquest of Paradise は直訳すると楽園征服。金やスパイスがあふれる楽園を征服するのがコロンブスの船団に課せられたミッシヨン。
おそらく意図的に近似させたと思われるが、レッドオクトーバーがロシアから行った逃避行も大西洋を渡って米国大陸へ向かうという点では、ほぼこの航路に類似している。
地球は丸いという持論を持つのはヨーロッパではもはやコロンブスだけで気違い扱いされているところへ才知溢れるスペインのイザベル女王が出資を申し出る。
命知らずの船員たちを鼓舞し、漂流・渇水・荒天を乗り越えて、彼らはとうとうアメリカ海域へ到達する。
この曲は映画のBGMとしてマイナーな曲調に納められているが、後に発表されるVoicesではもっと前向きな胸を張っての行進曲のような感じが漂うものが発表されているので以下で紹介する。
GPS、いや人工衛星すらない時代に、原始的な天体測量だけで命をかけて大西洋を渡っていった彼らの心中はどんなものだったのだろうか?
ベートーベン第九の歌詞で「おお友よ、もっと明るい歌を謡おうではないか」というところがあるが、ヴァンゲリス先生もきっとこれを実践したものかと想定される。